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「自分起点だから、お金につながらない」を抜け出す

仕事・働き方
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自分の強みを捨てずに、「他者の問題解決」と接続する方法

「自分がやりたいことを起点に動いている。でも、なかなかお金につながらない」

そんな感覚を持つ人は少なくありません。

好きなことを深める。
自分なりの方法を試す。
興味のあるテーマを発信する。
自分が納得できるものをつくる。

こうした「自分起点」の行動には、大きな強みがあります。

一方で、それだけでは「誰の、どんな問題を解決しているのか」が伝わりにくいことがあります。

すると、

「自分はこんなことができます」

という話はできても、

「それによって、誰の何が楽になりますか?」

という話につながらない。

ここに、価値はあるのに、お金につながりにくいという状態が生まれます。

では、自分起点をやめて、他人のニーズに合わせるべきなのでしょうか。

そうとは限りません。

むしろ大切なのは、自分起点を捨てることではなく、自分起点で培ったものを「他者の問題解決」に接続することです。

1.「自分起点」と「他者起点」は対立しない

まず、ここを分けて考えてみましょう。

「自分起点」とは、

  • 自分が面白いと思う
  • 自分が得意
  • 自分が経験してきた
  • 自分なりの問題意識がある
  • 自分だからできる方法がある

といったところから始めることです。

一方、「他者起点」は、

  • 相手が困っている
  • 相手が時間を失っている
  • 相手がお金を失っている
  • 相手がうまくできずに悩んでいる
  • 相手が「こうなりたい」と思っている

というところから始まります。

この2つは、どちらか一方を選ぶものではありません。

むしろ、

自分の強み × 他者の困りごと

が重なったところに、仕事としての価値が生まれやすくなります。

たとえば、

「文章を書くのが好き」

だけでは、仕事としての価値が伝わりにくいかもしれません。

しかし、

「文章を書くのが得意だから、専門知識はあるけれど文章化が苦手な人の発信を手伝う」

となれば、相手の問題とつながります。

「写真が好き」も同じです。

「写真を撮るのが好き」

から、

「商品の魅力が伝わる写真を撮れず、販売機会を逃している事業者を手伝う」

に変われば、問題解決として捉えられます。

つまり必要なのは、自分を変えることではなく、自分の強みの「接続先」を見つけることなのです。

2.お金になるのは「強み」そのものではなく、「強みが生む変化」

ここが重要なポイントです。

人は必ずしも「あなたの強み」そのものにお金を払うわけではありません。

多くの場合、お金を払うのは、その強みによって得られる変化です。

たとえば、

「私はデザインが得意です」

ではなく、

「サービスの内容はいいのに、魅力が伝わらない人のために、見た瞬間に内容が理解できる資料をつくります」

という形です。

同じ能力でも、見せ方が変わります。

強み → 問題 → 変化

この3つをつなげてみると分かりやすくなります。

強み

自分が自然にできること。

問題

その強みを使って、誰の何を解決できるか。

変化

問題が解決された結果、相手に何が起きるか。

たとえば、

「人の話を聞くのが得意」

だけなら、個人的な資質です。

それを、

「頭の中が整理できず、何から手をつければいいか分からない人の話を聞いて、次の一歩を言語化する」

とすると、問題解決になります。

さらに、

「一人で考え続けて前に進めない状態から、今日やることが明確になって行動できる状態へ」

まで言語化すると、提供する価値が見えてきます。

3.「誰かの問題」を探すとき、自分の強みから逆算していい

「他者のニーズを探しましょう」と言われると、

「市場調査をしなければいけない」
「世の中で流行っているものを探さなければいけない」

と考えてしまう人もいます。

もちろん市場を見ることは重要です。

でも、自分起点の人が最初にやるなら、もっと身近なところから始めてもいい。

それは、

過去に自分が人から頼まれたことを見ることです。

たとえば、

  • 「これ、ちょっと見てくれない?」
  • 「どう考えればいいと思う?」
  • 「文章を直してほしい」
  • 「これ、分かりやすく説明して」
  • 「一緒に考えてほしい」
  • 「あなたならどうする?」
  • 「それ、どうやってやってるの?」

こうした頼まれごとは、自分では「たいしたことではない」と思っている能力が、他者にとっては価値になっている可能性があります。

特に注目したいのは、

自分にとっては苦労せずできるのに、他人には難しいこと

です。

そこには強みと需要の接点が隠れていることがあります。

4.「自分がやりたいこと」を「相手が得たい結果」に翻訳する

自分起点の活動を仕事につなげるうえで、非常に役立つのが「翻訳」です。

たとえば、

「私は○○を研究しています」

という自己紹介を、

「○○について困っている人が、△△できるようにします」

に翻訳してみます。

例1:発信が好き

自分起点

「SNSで情報発信するのが好き」

問題解決

「専門性はあるけれど、何を発信すればいいか分からない人の発信テーマを整理する」

例2:人の話を聞くのが好き

自分起点

「人の話を聞くのが好き」

問題解決

「考えがまとまらず、行動に移せない人の頭の中を整理する」

例3:仕組みを考えるのが好き

自分起点

「効率化や仕組みづくりが好き」

問題解決

「毎回同じ作業に時間を取られている小さな事業者の業務を整理する」

例4:ものをつくるのが好き

自分起点

「イラストを描くのが好き」

問題解決

「文章だけでは伝わりにくいサービスの内容を、直感的に理解できるイラストにする」

この翻訳によって、自分の「好き」や「得意」を捨てる必要がなくなります。

むしろ、好きだから続けられることを、誰かの役に立つ場所へ持っていくのです。

5.「誰の問題か」を狭くすると、価値が伝わりやすくなる

もう一つ大切なのが、「誰でも助けます」をやめることです。

自分の強みが幅広い人ほど、

「いろんな人の役に立てます」

と言いたくなります。

しかし、これでは相手が自分ごととして捉えにくい。

そこで、

「誰の、どんな場面で役に立つのか」

まで絞ってみます。

たとえば、

「文章を書くのが苦手な人」

より、

「自分の商品については詳しいけれど、その魅力を文章にするのが苦手な個人事業主」

のほうが、対象が具体的です。

すると、その人が、

「それ、自分のことかもしれない」

と気づきやすくなります。

これは「対象を狭くすることで可能性を失う」という話ではありません。

最初の段階では、誰か一人の具体的な問題を解くことで、価値の形を見つけやすくするということです。

6.「売るもの」を考える前に、「相手の変化」を考える

自分起点の人は、ときどき「何を商品にすればいいか」で悩みます。

でも、最初から商品名や料金を考えなくても大丈夫です。

先に考えたいのは、

「この人が、自分と関わる前と後で、どう変わるのか?」

です。

たとえば、

Before
「何を発信したらいいか分からない」

After
「自分が発信すべきテーマが3つ決まった」

あるいは、

Before
「仕事が頭の中でごちゃごちゃしている」

After
「優先順位が整理され、今週やることが決まった」

あるいは、

Before
「自分の商品を説明できない」

After
「誰に何を提供する商品なのか、一言で説明できるようになった」

この「Before → After」が明確になると、提供するサービスも自然に設計しやすくなります。

7.「自分の強み」を削るのではなく、翻訳して届ける

ここまでの話を一言でまとめると、

自分起点を捨てる必要はない。

むしろ、自分起点だからこそ、

  • 他の人とは違う視点を持てる
  • 深く掘れる
  • 継続できる
  • 独自の方法をつくれる
  • 自分なりの経験を活かせる

という強みがあります。

問題は、その強みが「自分の世界の中だけ」で完結してしまうことです。

だから必要なのは、

自分の世界 → 相手の世界

への翻訳です。

「私はこれが好き」

から、

「この好き・得意を使って、こんな人のこんな問題を解決できる」

へ。

「私はこういうことをしています」

から、

「あなたがこういう状態なら、私はこういう変化をつくれます」

へ。

この翻訳ができると、自分らしさを失わずに、仕事としての価値をつくれるようになります。

8.実際にやってみるなら、この5つを書き出す

難しく考えず、紙やメモに次の5つを書いてみてください。

① 自分がつい時間を使ってしまうこと

「気づくと調べている」
「頼まれていないのに改善している」
「もっと知りたくなる」

そんなことを書きます。

② 人からよく頼まれること

小さなことでも構いません。

「相談される」
「説明を頼まれる」
「文章を見せられる」
「アイデアを求められる」

などです。

③ 自分が経験してきた問題

過去に自分が悩んだことは、同じ問題を抱えている人を理解する材料になります。

④ その強みで、誰の何を楽にできるか

「誰でも」ではなく、できるだけ具体的に。

⑤ その人に、どんな変化が起きるか

「作業が楽になる」
「迷いが減る」
「時間が増える」
「売り方が明確になる」
「一歩進める」

など、相手側の変化に置き換えます。

9.最終的には「自分 → 相手 → 価値」の循環をつくる

自分起点の人に必要なのは、

「もっと他人のことを考えなければ」

と自分を矯正することではありません。

むしろ、

自分 → 他者 → 価値 → お金 → さらに自分の強みを磨く

という循環をつくることです。

自分が好きなこと、得意なこと、経験してきたことを深める。

それを必要としている人を見つける。

その人の問題を解決できる形に翻訳する。

相手にとって価値のある変化を提供する。

対価を受け取る。

その対価とフィードバックを使って、さらに自分の強みを磨く。

こう考えると、「自分起点」と「お金」は対立しません。

自分らしさを守りながら、他者にとっての価値に変換する。

その接続部分に、仕事が生まれます。

おわりに

「自分起点だから、お金につながらない」と感じたとき、

「もっと人のニーズに合わせなきゃ」

と考えて、自分の好きなことや強みを捨てる必要はありません。

一度、自分の強みをそのまま眺めるのではなく、

「この強みを、誰の、どんな困りごとに使えるだろう?」

と問い直してみてください。

そして、

「その人は、私と関わることで何ができるようになるだろう?」

まで考えてみる。

「自分がやりたいこと」と「誰かが必要としていること」の間には、意外と大きな距離はありません。

必要なのは、方向転換ではなく、接続するための翻訳です。

自分起点であることは、弱みではありません。

それを他者の問題解決につなげられたとき、あなたにしかできない価値になっていきます。