「会社員を辞めたい」
「手に職をつけて、自分の力で稼げるようになりたい」
「人間関係に縛られず、自分のペースで働きたい」
そう考えて、資格を取ったり、技術を身につけたり、副業を始めたりする人は少なくありません。
私自身も、もともとは会社員でした。
会社員を辞めても生活できるように、「何か手に職をつけたい」と考え、自分で仕事を作ることに挑戦しました。
実際に自分の技術を使って仕事を作り、依頼を受け、商品を販売し、それだけで生計を立てられるところまで経験しました。
しかし、最終的にはその仕事を本業として続けることをやめました。
そして、その経験を通して初めて、「自分が欲しかったのは、特定の技術ではなかったのかもしれない」と気づきました。
自分にとって必要だったのは、お金を稼ぎながら、自分の時間を自分でコントロールできることだったのです。
この記事では、会社員から独立・フリーランス・個人事業などに挑戦した経験をもとに、「手に職をつける」とは何なのか、そして自分に合った自由な働き方について考えてみます。
会社員を辞めるために「手に職」が必要だと思っていた
会社員として働いていると、上司との関係、同僚との人間関係、決められた勤務時間、決められた休日、組織のルール、自分の意思だけでは仕事量を調整できないことなどに窮屈さを感じることがあります。
私も、そうした環境から離れたいと思うようになりました。
そこで考えたのが、「会社を辞めても自分で生活できるように、手に職をつけよう」ということでした。
当時は、「手に職」といえば、何か専門的な技術を身につけ、その技術を使って仕事をすることだと思っていました。
資格を取る。技術を身につける。経験を積む。そして独立する。
そんなイメージです。
「自分で仕事を作る」という経験をした
実際に新しいことを始めてみると、単に技術が身につくだけではありませんでした。
自分で商品やサービスを作る。お客さんに知ってもらう。依頼を受ける。価格を決める。納品する。お金をいただく。
場合によっては、自分で集客や宣伝まで行う。
会社員とはまったく違う経験です。
最初は「自分で仕事を作るなんてできるのだろうか」と思っていても、実際にやってみると、少しずつ仕事になることがあります。
そして、実際に自分の力で収入を得られるようになると、「会社に所属しなくても、自分でお金を稼ぐことができる」という自信につながります。
これは、独立を経験して得られた大きな財産でした。
しかし「売上」と「利益」は違った
一方で、個人で仕事をしてみて分かったこともあります。
それは、売上がそのまま収入になるわけではないということです。
仕事によっては、材料費、道具代、交通費、広告費、梱包費、送料、設備費など、さまざまな経費が発生します。
さらに、自分自身の時間もコストです。
例えば1万円の商品が売れたとしても、材料費がかかる。移動する。制作する。連絡する。梱包する。発送する。場合によっては修正する。
こうして考えると、「1万円売れた」という数字だけでは、その仕事がどれだけ自分に利益を残してくれたのか分かりません。
独立すると、「売上を作ること」と「利益を残すこと」は別問題だと実感するようになります。
「好きな仕事」でも負担になることがある
自分が好きで始めた仕事でも、ずっと楽しいとは限りません。
仕事として依頼を受けるようになると、「お客さんの期待に応えなければいけない」という責任が生まれます。
自分が好きなように作るのと、誰かの希望に合わせて作るのでは、同じ作業でも意味が変わります。
実際に依頼を受ける中で、「最初にもっと細かく条件を決めておけばよかった」と思うこともありました。
また、「ここまではできるけれど、これ以上は難しい」と判断して、依頼そのものを断ったこともあります。
これは決して悪い経験ではありませんでした。
むしろ、自分がどこまでなら仕事として無理なく引き受けられるのかを知ることができたからです。
個人で働くにも「見えないコスト」がある
会社員を辞める前は、「会社を辞めれば自由になれる」と考えがちです。
確かに、会社員にはない自由があります。
しかし、個人で働くと今度は別の負担が発生します。
- 集客
- 営業
- お客さんとのやり取り
- 請求
- 発送
- 経費管理
- 在庫管理
- SNSでの発信
- スケジュール管理
- クレームやトラブルへの対応
会社員なら会社が用意してくれていたものを、自分でやらなければならない場合があります。
そのため、「会社員ではない=必ず自由」ではありません。
自分で仕事をしていても、仕事そのものに追われてしまえば、別の意味で自由を失うことがあります。
さらに「人との比較」に疲れることもある
個人で活動していると、SNSなどで同じ仕事をしている人の活動が目に入ります。
他の人の作品、売上、実績、フォロワー数、新しい商品、新しいサービス、イベントへの参加など。
最初は刺激になります。
しかし、ずっと見ていると、「自分ももっと頑張らなければ」「自分は遅れているのではないか」という気持ちになることがあります。
本来は自分のペースで働きたくて独立したのに、今度はSNS上の他人のペースに引っ張られてしまう。
これも、個人で活動する場合に見落としやすい部分だと思います。
そこで別の働き方を経験してみた
個人で仕事をすることに疲れを感じるようになった頃、別の働き方も経験しました。
そこで感じたのは、「仕事の内容より、仕事の仕組みが自分に合っているかどうかが重要なのではないか」ということでした。
働きたいときに働く。
今日はこれだけ働く。
疲れたら休憩を取ったり進捗状況を見て一区切りつけるところまでやり切る。
今日は休む。
そして、働いたことに対して比較的分かりやすく報酬が発生する。
仕事のために大量の在庫を抱える必要もない。
材料を仕入れて保管する必要もない。
制作物を梱包して発送する必要もない。
こうした働き方を経験してみて、以前とは違う魅力を感じました。
「手に職」の意味が変わった
ここで、以前から考えていた「手に職」という言葉の意味が変わりました。
以前は、
手に職=専門的な技術
だと思っていました。
でも、実際に自分で仕事を作った経験をしてみると、それだけではありません。
自分で考えて行動する。
自分で仕事を作る。
人からお金をいただく。
自分で仕事量を調整する。
必要なら仕事を変える。
こうした能力も、ある意味では「手に職」なのではないかと思うようになりました。
特定の技術を一生使い続けることだけが、手に職ではありません。
自分にとっての「自由」を考えてみる
ここで一度、「自分はなぜ会社員を辞めたいのか?」を考えてみることが大切だと思います。
「会社員が嫌だから」というだけでは、次の仕事でも同じ問題が起きる可能性があります。
例えば、本当に欲しいものが、
- 人間関係から距離を置きたい
- 働く時間を自分で決めたい
- 休む日を自分で決めたい
- 仕事量を調整したい
- 働いた分だけ収入につなげたい
- 自分の判断で仕事をしたい
- 初期費用や経費を抑えたい
ということであれば、必要なのは「専門技術」ではなく、そうした条件を満たす働き方かもしれません。
逆に、「専門家として認められたい」「技術を極めたい」「作品を世の中に残したい」ということが重要なら、別の働き方が合っているかもしれません。
大切なのは、他人が考える「理想の働き方」ではなく、自分が何を求めているのかを知ることです。
「仕事」と「好きなこと」を分けてもいい
好きなことを仕事にした経験があるからこそ分かったことがあります。
好きなことを、必ずしも仕事にする必要はない。
仕事にすると、「売らなければいけない」「納期を守らなければいけない」「お客さんの要望に応えなければいけない」「利益を出さなければいけない」という責任が発生します。
趣味なら、「今日はやりたいからやる」だけでいい。
完成したものを誰かに売らなくてもいい。
人に見せなくてもいい。
上達しなくてもいい。
それでも楽しいなら、それで十分です。
「好きなことを仕事にする」のが正解とは限りません。
好きなことを好きなまま残すために、あえて仕事にしないという選択肢もあります。
一度やめた仕事に戻ってもいい
そして、仕事をやめたからといって、二度とやってはいけないわけでもありません。
一度手放して、数年後にまたやりたくなることもあります。
そのときに必要な道具を買えばいい。
また勉強すればいい。
以前の経験があるので、完全なゼロからのスタートでもありません。
だから、「今やめたら、もう二度とできなくなる」と考えて、物や仕事を抱え続ける必要はありません。
今の自分に必要なものだけを残して、必要になった未来の自分が改めて選べばいい。
会社員を辞めた経験も、独立した経験も無駄にはならない
最終的に、以前やっていた仕事をやめることになったとしても、その期間が無駄になるわけではありません。
自分で仕事を作った。
お客さんとやり取りした。
お金をいただいた。
利益と経費について考えた。
失敗もした。
自分にできること、できないことが分かった。
そして、自分が本当に求めている働き方にも気づいた。
これらは、次にどんな仕事をする場合でも役立つ経験です。
特に、「自分で稼ぐことができた」という経験は大きいと思います。
一度でも自分の力で収入を作った経験があると、会社員以外の選択肢も現実的に考えられるようになります。
「何の仕事をするか」より「どう働きたいか」
会社員を辞めたいと思ったとき、「次は何の仕事をすればいい?」と考える人は多いと思います。
資格を探したり、専門技術を探したり、副業を探したりするのも一つの方法です。
ただ、その前に、「自分はどう働きたいのか?」を考えてみてもいいのではないでしょうか。
例えば、
- 週5日働きたくない
- 毎日決まった時間に働きたくない
- 人間関係のストレスを減らしたい
- 自分で仕事量を調整したい
- 働いた分が分かりやすく収入になる仕事がいい
など。
ここが明確になれば、「手に職」という言葉にこだわらなくても、選択肢は広がります。
まとめ
会社員を辞めて自由に働きたい。
そう考えて「手に職」を探すことは、一つの方法です。
私自身も、専門的な技術を身につけ、それを使って自分で仕事を作る経験をしました。
その経験は大きな自信になりました。
一方で、実際に仕事にしてみると、経費、在庫、集客、依頼への責任、発送、SNSでの比較など、会社員とは違った負担もありました。
そして別の働き方を経験したことで、自分が本当に求めていたものが分かりました。
それは、
「特定の技術で一生食べていくこと」ではなく、
「お金を稼ぎながら、自分の時間を自分でコントロールできること」
でした。
だから、仕事を選ぶときは、
「何の仕事なら一生食べていけるか?」
だけではなく、
「どんな働き方なら、自分は無理なく長く続けられるか?」
という視点も持っておくといいと思います。
そして、好きなことを仕事にした結果、趣味に戻したくなることがあっても、それは失敗ではありません。
一度本気でやったからこそ分かったことがある。
一度自分で稼いだからこそ、自分に合う働き方が分かった。
それなら、その経験には十分な意味があります。
「手に職をつける」ことの本当の目的は、特定の技術を持つことではなく、自分が望む人生を自分で選べる状態を作ることなのかもしれません。

