「借金」と聞くと、多くの人はネガティブな印象を持ちます。
- 借金は少ないほうがいい
- できれば早く返したい
- 無借金が理想
実際、一般家庭ではその感覚は自然です。
住宅ローンを繰上返済すると安心する人も多いでしょう。
しかし、富裕層やオーナー経営者の世界では、借金に対する考え方がかなり異なります。
「資産を売るくらいなら、借りる」
しかも
- 元本を急いで返さない
- 利息だけ払い続ける
- 借換えを繰り返す
という行動も珍しくありません。
一般感覚からすると「借金が減らないのに大丈夫なのか?」と思うかもしれません。
しかし彼らは、そもそも借金の見方が違います。
富裕層は「お金持ち」だが「現金持ち」とは限らない
まず重要なのは、富裕層 = 現金が大量にある人とは限らないことです。
例えば
- 上場株を100億円保有
- 自社株を大量保有
- 都心不動産を複数所有
- ファンド持分を持つ
という人は、資産価値では巨大な富裕層です。
しかし、その大半は「現金」ではありません。資産はあるが、自由に使えるキャッシュは少ないという状態が普通にあります。
例えば自社株100億円分を持っていても、それを売れば
- 株価下落
- 支配権低下
- 市場への悪影響
- 譲渡益課税
などの問題が発生します。
そこで使われるのが、担保ローンです。
担保ローンとは何か
担保ローンとは簡単に言えば、「持っている資産を担保にお金を借りる」仕組みです。
担保になるものは様々です。
- 上場株
- 自社株
- 不動産
- 投資信託
- 債券
- ファンド持分
- 美術品
など。
銀行やプライベートバンクは、その資産価値をもとに融資を行います。
例
- 株式100億円保有
- LTV(融資比率)30%
→ 30億円程度を借りられる可能性がある
なぜ「借りる」と税金が発生しないのか
ここが非常に重要です。
例えば株を売却すると
- 譲渡益税
- 所得税
- 住民税
が発生します。
しかし、借入は違います。借金は「所得」ではないからです。
なぜなら「返済義務があるお金」だからです。
- 株を売る → 課税
- 株を担保に借りる → 非課税
富裕層はこの違いを非常に重視します。
借りたお金は何に使われるのか
生活費や高額消費
意外と多いのが生活資金です。
- 高級住宅
- 別荘
- 教育費
- 美術品
- 高級車
- ヨット
普通の人なら株を売る場面でも、富裕層は「資産を売るくらいなら借りる」という判断をすることがあります。
新しい投資
むしろこちらが本命というケースもあります。
- 不動産購入
- 会社買収
- ベンチャー投資
- 株式投資
「資産を売らず、借りたお金でさらに資産を増やす」という発想です。
納税資金
日本で非常に多いのがこれです。
- 相続税
- 自社株関連税
- 不動産関連税
オーナー経営者は
- 資産評価額は巨大
- しかし現金は少ない
という状態になりやすく「税金を払うために融資を受ける」ケースがあります。
なぜ元本を返さなくても平気なのか
ここが一般人と富裕層で最も感覚が違う部分です。
多くの人は「借金が減らない状態」に不安を感じます。
しかし富裕層は、借金額より純資産を見ています。
- 資産100億円
- 借金20億円
→ 純資産80億円
さらに数年後
- 資産150億円
- 借金20億円
→ 純資産130億円
つまり、借金が減っていなくても全体では豊かになっているという感覚です。
「返済するより運用したほうが得」という考え
例えば
- 借入金利 2%
- 資産運用利回り 8%
なら、借金を返済するより、資産運用を続けたほうが合理的だと考えます。「返済すると資産成長を止める」と感じるわけです。
実際には「利息だけ払う」ことも多い
超富裕層では
- 元本は維持
- 利息だけ支払い
- 借換え継続
というケースがあります。
彼らは、「借金をゼロにする」ことを目的にしていません。
目的は
- 資産維持
- キャッシュフロー管理
- 税効率
- 資産成長
です。
もちろんリスクもある
資産価格暴落
株価や不動産価格が下落すると
- 担保不足
- 追証
- 強制売却
が発生する可能性があります。
金利上昇
金利が上がると
- 利払い負担増
- キャッシュフロー悪化
が起きます。
流動性不足
富裕層でも「資産はあるのに現金がない」状態になることがあります。
多くの破綻は、「「資産不足」ではなく「現金不足」から始まります。
まとめ
富裕層の担保ローン戦略を一言で表すなら、「資産を売却して課税される代わりに、
資産を担保に借りて現金化する」という構造です。
そして彼らは
- 借金額そのもの
- 毎月の返済額
よりも
- 純資産
- 担保余力
- キャッシュフロー
を重視します。
一般人が「労働収入」で返済するのに対し、富裕層は「資産に返済させる」という発想を持っています。
これが、富裕層の資産管理と担保ローン戦略の本質です。
参考までに。

