「やめたいのに、つい欲求に負けてしまう」
食べたい、スマホを見たい、ゲームをしたい、買い物をしたい、SNSを開きたい、先延ばししたい。
こうした欲求を抑えようとすると、多くの人は「もっと意志を強くしなければ」と考えます。
しかし、欲求をコントロールするうえで重要なのは、欲求が生まれてから我慢することだけではありません。
むしろ大切なのは、
「そもそも、何がその欲求を引き起こしているのか?」
を考えることです。
その「きっかけ」を、ここではトリガー(trigger)と呼びます。
欲求には「トリガー」がある
たとえば、スマホを見たくなるとき。
単純に「スマホが見たい」という欲求が突然生まれているように感じるかもしれません。
しかし実際には、
暇になる
↓
スマホを見る
↓
刺激を受ける
↓
もっと見たくなる
という流れができていることがあります。
この場合、「暇になること」や「スマホが目に入ること」がトリガーになっています。
食欲なら、
ストレスを感じる
↓
何か食べたくなる
↓
食べ物を探す
という流れかもしれません。
買い物なら、
SNSを見る
↓
商品を知る
↓
欲しくなる
↓
通販サイトを見る
という流れかもしれません。
つまり、
トリガー → 欲求 → 行動
というパターンが存在します。
だからこそ、欲求そのものだけを抑えようとするのではなく、トリガーから見直すことが重要になります。
欲求をコントロールする4段階
欲求への対処は、
意志力 → 仕組み化 → 単純化 → 削除
という順番で考えることができます。
最後に近づくほど、「欲求と戦う努力」は小さくなります。
1. 意志力:「欲求が出たら我慢する」
最初の段階は、意志力で抑える方法です。
たとえば、
「スマホを見たいけど我慢する」
「食べたいけど我慢する」
「買いたいけど我慢する」
というものです。
これは一番分かりやすい方法ですが、毎回これだけで対処するのは大変です。
なぜなら、すでにトリガーを受けて欲求が強くなった後だからです。
たとえば、
トリガー
「暇になる」
↓
欲求
「スマホを見たい」
↓
イメージ・思考
「何か面白いものがあるかも」
↓
行動
「スマホを手に取る」
という状態になってから、
「絶対に見ない!」
と戦うことになります。
これは、かなりの意志力を必要とします。
そこで次の段階です。
2. 仕組み化:「トリガーが出たときの行動を決めておく」
次は、欲求が出てから毎回考えるのではなく、あらかじめルールを作っておく方法です。
たとえば、
- 「スマホを見たくなったら、まず5分歩く」
- 「間食したくなったら、まず水を飲む」
- 「衝動買いしたくなったら、24時間待つ」
というようにします。
ここで重要なのは、欲求をなくそうとしないことです。
「欲求が出たらどうするか」を決めておきます。
たとえば、
トリガー
「暇になる」
↓
欲求
「スマホを見たい」
↓
ルール
「まず5分だけ別のことをする」
↓
再判断
という形にします。
これだけでも、「トリガーを受けたら即行動」という自動的な流れを断ち切ることができます。
3. 単純化:「トリガーに触れる機会を減らす」
さらに進むと、欲求が出てから対処するのではなく、トリガーそのものに触れにくくするという発想になります。
スマホの場合
- 通知を切る
- ホーム画面から誘惑になりやすいアプリを外す
- ベッドから離れた場所で充電する
- SNSを見る時間を決める
買い物の場合
- セール通知を切る
- メルマガを解除する
- 通販サイトを暇つぶしで開かない
- 決済情報を保存しない
食べ過ぎの場合
- 家に余計な間食を置かない
- 空腹時にコンビニへ行かない
- 食べ物を見える場所に置かない
ここでやっていることは、
「欲求を抑える」のではなく、「欲求を発生させるトリガーとの接触を減らす」
ことです。
4. 頭の中のトリガーにも注意する
ここで一つ問題があります。
外部のトリガーを減らしても、欲求が生まれることがあります。
スマホを遠ざけてもスマホを見たくなる。
食べ物を片付けても食べたくなる。
通販サイトを閉じても欲しい物について考えてしまう。
なぜなら、トリガーは外部にあるとは限らないからです。
たとえば、
- 退屈
- ストレス
- 疲労
- 孤独感
- 習慣
- 記憶
- イメージ
- 空想
などもトリガーになり得ます。
つまり、外部のトリガーだけでなく、内部のトリガーにも目を向ける必要があります。
5. 頭の中に欲求が浮かんだら「続きを作らない」
内部のトリガーへの対処で重要なのが、
「考えないようにする」のではなく、「考えの続きを膨らませない」
という考え方です。
たとえば、
「○○したい」
という考えが浮かんだとします。
その瞬間に、
「ちょっとだけなら……」
「やったら気持ちよさそう」
「その後どうしよう」
などと頭の中で続きを作っていくと、欲求がさらに強くなることがあります。
そこで、
「今、欲求が出ているな」
と気づきます。
そして、その考えを無理に消そうとせず、続きを作らずに別の行動へ移ります。
つまり、
考えが浮かぶこと
と
その考えを膨らませること
を分けます。
目標は「欲求を一切感じないこと」ではありません。
欲求を感じても、それを育てないこと。
6. 最終段階は「トリガーを削除する」
最も効果が大きいのは、欲求が出てから我慢することではありません。
そもそも欲求を繰り返し発生させているトリガーや習慣を取り除くことです。
たとえば、
「暇になる」
↓
「SNSを見る」
↓
「刺激を受ける」
↓
「もっと見たくなる」
というループなら、
「SNSを見ないように頑張る」のではなく、
「暇な時間にSNSを開く」という習慣をなくす。
衝動買いなら、
「買いたくなったら我慢する」のではなく、
「暇なときに通販サイトを見る」というトリガー行動をなくす。
間食なら、
「食べたくなったら我慢する」のではなく、
「ストレスを感じたら食べる」という習慣を別の行動に置き換える。
という具合です。
欲求は「トリガー」から考える
ここまでを一つの流れにすると、非常にシンプルです。
トリガー
↓
欲求
↓
頭の中のイメージ・思考
↓
行動
↓
一時的な満足
↓
習慣として強化される
このループのどこかを切ります。
意志力
「行動する直前に我慢する」
↓
仕組み化
「トリガーが出たときの行動を決めておく」
↓
単純化
「トリガーに触れにくい環境を作る」
↓
削除
「そもそもトリガーを生み出している習慣や環境をなくす」
まとめ:欲求と戦うより、トリガーを減らす
欲求をコントロールできないとき、
「自分は意志が弱い」
と考えてしまう必要はありません。
まず考えたいのは、
「この欲求のトリガーは何だろう?」
ということです。
そして、
意志力
「欲求が出たら我慢する」
↓
仕組み化
「トリガーが出たときの行動を決める」
↓
単純化
「トリガーに触れる機会を減らす」
↓
削除
「トリガーを生み出している習慣や環境そのものをなくす」
と、一段ずつ対策を進めます。
また、外部のトリガーを取り除いても頭の中に欲求が浮かぶ場合は、
「考えない」ではなく「続きを膨らませない」
ことを意識します。
大切なのは、欲求を完全になくすことではありません。
「欲求が生まれたら、必ず行動する」という自動反応をなくすこと。
そのために、まずは自分の欲求が生まれる直前に何が起きているのかを観察してみましょう。
「いつ」「どこで」「何をしているとき」に欲求が生まれるのか。
そこに、あなた自身のトリガーが隠れています。

