今回は、「年収(売上)108万円で、青色申告特別控除65万円を使って所得を基礎控除内に収める方法」について解説します。この記事では一人暮らしの個人事業主を想定していますが、二人暮らしや子育て世帯など、家族構成によって税金や保険料の計算は変わるため、自分の状況に合わせた調整が大切です。
目次
売上と所得の関係を理解しよう
給与所得者とは違い、個人事業主(フリーランス)の場合は「収入(売上)」から「青色申告特別控除」と「経費」を引いた残りが「所得」となります。
- 売上(事業収入):108万円
- 青色申告特別控除:−65万円
- 課税対象所得:108万円 − 65万円 = 43万円以下
経費分(例:10万円)は計算に含めませんが、実際には経費として使えるため、その分まで稼いでも所得は基礎控除内という安心感があります。
所得43万円以下であれば、基礎控除43万円以内に収まるため、所得税も住民税もゼロになります。
メリット① 青色申告特別控除65万円が強力すぎる
青色申告をしている個人事業主は、最大で65万円の特別控除を受けられます。
これは経費とは別に差し引ける強力な節税措置です。
- 帳簿をつけて電子申告する → 65万円控除
- 簡易帳簿または紙申告 → 10万円控除
メリット② 経費を上手に使えば手取りを守れる
経費は「必要な支出」として認められる範囲が広く、
たとえば以下のような支出が経費計上できます。
- パソコン・スマホ代・通信費
- 取材や打ち合わせの交通費
- 自宅の一部を仕事部屋として使う場合の家賃・光熱費の按分
- 文房具・ソフトウェア・サーバー代など
経費+青色控除=実質的な非課税ラインを大幅に広げるカギ
メリット③ 一人暮らしなら固定費の最小化で相乗効果
フリーランスは収入が変動しやすいですが、税金・保険料を最小化すれば支出の安定につながります。
- 所得税・住民税:非課税
- 国民健康保険料:軽減または免除の可能性あり
- 国民年金保険料:免除・猶予の申請が可能
一人暮らしの方は、これらの軽減制度をうまく使うことで、実質の生活コストを月数千円単位で節約できます。
メリット④ 「敢えて1万円少なく」するのが安全策
青色申告の控除や経費の額は年によって変動することもあるため、
課税ギリギリラインを攻めず、1万円ほど少なく見積もるのが安全です。
- 理論上の上限:売上108万円
- 実際の目標:売上107万円程度
この1万円の余裕が、思わぬ売上や仕入れミスを吸収する“非課税保険”になります。
注意点:社会保険・扶養の基準は別物
税金上は非課税でも、社会保険上の「扶養」や「保険料軽減」は別基準で判定されます。
たとえば健康保険の扶養は「年収130万円未満」が目安です。
したがって、税金・保険の両面で最適化するには、世帯構成や加入保険の種類も考慮する必要があります。
まとめ:青色申告+経費で“非課税ゾーン”を作る!
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売上(事業収入) | 約108万円(※安全を見て107万円程度) |
| 青色申告特別控除 | 65万円 |
| 経費 | 計算には含めないが、その分までは稼げる |
| 課税対象所得 | 43万円以下(控除後) |
| 所得税・住民税 | 非課税 |
経費+青色申告控除=最強の節税コンビ。
一人暮らしの方は「非課税+低支出」で安心、
家族がいる方は「世帯全体での最適化」を意識しましょう。
個人事業主にとって、青色申告特別控除65万円は最大の味方。
経費をきちんと計上し、売上を108万円以内にコントロールできれば、非課税ラインを安全に維持できます。
さらに、経費分は課税計算に含めないので、経費で使える範囲まで稼いでも安心というメリットがあります。
ただし、
- 一人暮らしか
- 夫婦・同棲か
- 子育て世帯か
によって最適な調整は変わります。
敢えて1万円少なく働くゆとりが、安心して継続できる節税ライフのコツです。
参考までに。

