今回は、「年収が98万円で、給与所得控除55万円+基礎控除43万円以内に収まっている人のメリット」について解説します。この記事では一人暮らしの方を主な想定としていますが、二人暮らしや子育て世帯など、家族構成によって税金や保険料の計算は変わります。そのため、自分の状況に合わせてシミュレーションすることが大切です。
目次
所得と収入の違いを理解しよう
「収入98万円」というのは、実際に得たお金の総額です。
ここから「給与所得控除(55万円)」を差し引いた金額が「所得」となります。
- 収入:98万円
- 給与所得控除:55万円
- 所得:98万円 − 55万円 = 43万円
所得が43万円ということは、ちょうど基礎控除の範囲内ギリギリ。
つまり、課税所得はゼロ=所得税・住民税がかからないという状態になります。
メリット① 所得税・住民税がかからない
最大のメリットは、税金が一切かからないこと。
所得が基礎控除(43万円)以内であれば、所得税も住民税も非課税です。
住民税非課税世帯の特典例
- 国民健康保険料の軽減または免除
- 国民年金保険料の免除・減免
- 各種給付金・補助金の対象になりやすい
- 医療費や入院時の自己負担が軽減
- 公共料金・教育費の減免対象になることも
メリット② 一人暮らしでも生活コストを最小限に
一人暮らしは家賃・光熱費・食費などの負担がすべて自分持ち。
このとき、所得税や住民税をゼロにできるかどうかで、手取り額の感覚が大きく変わります。
・手取り=ほぼそのまま自由に使えるお金
・国保や年金の負担も軽減
・給付金や補助金の対象になりやすい
メリット③ 扶養がない人も「非課税」という安心を持てる
一人暮らしの方は、親の扶養に入らないケースが多いですよね。
その場合、自分で税金や保険料を負担する必要があります。
でも、年収98万円(=所得43万円)なら、自力でも非課税ラインに収まるため安心です。
逆に、二人暮らし・夫婦・子育て世帯などは、配偶者控除や扶養控除、児童手当などが加わるため、
世帯単位で調整することが大切です。
一人暮らしなら自分の所得を、家族がいるなら世帯全体の所得を確認して最適化するのがポイント。
メリット④ 給付金・助成金の対象になりやすい
最近の支援制度では、「住民税非課税世帯」であることが条件になるケースが増えています。
一人暮らしでも年収98万円以内なら対象になることが多く、申請ひとつで支援を受けられる可能性があります。
主な給付金・支援例
- 物価高騰対策給付金
- エネルギー・食料品価格高騰緊急支援給付金
- 医療費助成・公共料金の減免制度
- 子育て世帯臨時特例給付金(家族がいる場合)
メリット⑤ 「敢えて1万円少なく」するのがコツ!
基礎控除ギリギリの98万円は、1円でも超えると課税対象になってしまいます。
そのため、実際の目標収入は次のように設定しましょう。
- 理論上の上限:98万円
- 実際の目標:97万円以下
ボーナス・交通費・日割り給与などの思わぬ加算を考慮して、
「敢えて1万円少なく見積もる」のが安全策。
この1万円の余裕が、後から「非課税を守る保険」になります。
注意点:社会保険の扶養基準は別!
税金上の控除(基礎控除・配偶者控除など)と、社会保険(健康保険・年金)の扶養基準は異なります。
社会保険では「年収130万円未満」などが目安となるため、
税金上はセーフでも、保険上は扶養から外れることがある点には注意してください。
まとめ:98万円ラインは“非課税と安心のバランスゾーン”
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年収 | 約98万円(※安全を見て97万円程度に設定) |
| 所得 | 約43万円(=控除後) |
| 所得税・住民税 | 非課税 |
| 国民健康保険 | 軽減・免除の可能性あり |
| 扶養 | 状況によって異なる(家族構成で要確認) |
一人暮らしの方は「非課税で安心」、家族がいる方は「世帯全体で最適化」。
あなたのライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことで、最も効率よく手取りを守れます。
節税のカギは、「数字を知り、余裕を持って動くこと」。
年収98万円ラインを意識すれば、税金も保険料も軽く、給付金にもアクセスしやすくなります。
ただし、
- 一人暮らしか
- 同棲・夫婦か
- 子育て世帯か
によって条件は変わります。
だからこそ、自分の生活スタイルに合わせて計算し、「敢えて1万円少なく働く」ことで、確実に控除内に収めるのが最強の節税術です。
参考までに。

